行政は、法律や予算に基づいて政治を行い、その最高決定機関は、内閣だとされています。内閣総理大臣と、各省庁の担当大臣、そして省庁に属さない担当大臣(内閣府の特命担当大臣)によって構成されていて、これらの大臣の半分以上は国会議員によって構成されていなければなりません。国会議員から内閣のメンバーが過半数出されるのは、議院内閣制が採用されているためです。彼らは、「閣議」という話し合いで行政の運営について決定します。 ※「過半数」「閣議」というキーワードはよく覚えておきましょう。 ここで、「各省庁」と書きましたが、東京の霞ヶ関には、文部科学省や法務省のように、国の仕事を行う専門の機関があります。そこでは国家公務員が専門分野について仕事をしています。そして、各省庁の運営のありかたは、内閣のメンバーが基本的に指示し、実際の実務は公務員が行う事になります。また、各省庁に属さない特命大臣というのは、その時代によって必要となる政策を、省庁の枠を超えて行う任務を果たします。例えば、阪神大震災や東日本大震災の後に、特命大臣の一つとして「震災対策」あるいは「復興担当」という大臣のポストが設置されているのが代表例です。 なお、日本国憲法67条によると、「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。」とされていて、もし、両議院が異なる人を総理大臣として指名した場合は、両院協議会を経て、それでも意見が一致しない場合は、内閣総理大臣は衆議院の議決で決まる事になります。 例えば、2010年に総理大臣になった菅直人さんは、以前、1998年にも参議院だけでは総理大臣の指名を受けています。しかし、1998年の時は、衆議院が小渕恵三さんを総理大臣に指名したため、衆議院の指名が優先され、小渕さんが総理大臣になりました。その後、菅さんは2010年のときには衆議院と参議院の両方で総理大臣の指名を受けて総理大臣になっています。 また、憲法69条によると、衆議院で不信任案が可決されたり信任決議案が否決されたりしたときは、10日以内に衆議院を解散するか、内閣を総辞職しなければならないとされています。なお、天皇の国事行為の中にも「衆議院を解散する」ということが定められている(憲法7条)ので、衆議院の解散は、69条を根拠にすべきか、7条を根拠にすべきかという事で意見が分かれています。しかし、どちらにしても、衆議院の解散は内閣が実質的に行うことと考えられています。 なお、行政権を行使する内閣は国会議員が過半数を占めると書きましたが、内閣のメンバーになる国会議員は、基本的には与党の国会議員です。与党と野党の違いもおさえておきましょう。
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